⑬機能性ディスペプシア診断
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⑬機能性ディスペプシア診断
胃の不快症状(吐き気、食欲不振)は、病院に通っていても特に病名がつくわけでもなかったので、私は何だか「気のせい」「心の問題」と片付けられているような気がしました。
そもそも「機能性ディスペプシア」という正式な診断名が承認されたのも、日本では2013年になります。
私が2015年頃に胃の不快症状についてネット検索しても、まだ認知度が低く、なかなかこの病名に辿り着きませんでした。
そのため、半年以上「よく分からない」状態のまま、薬と通院を続けていました。
そんな日々を送る2016年になってからのこと。
ある日「機能性ディスペプシア」というワードをネットで見つけ、症状を見て「これだ!」と深く自覚したのを思い出します。
胃腸内科の先生に聞くと、ピロリ菌検査も陰性で症状が長く続いているということで「間違いないだろう」と言われました。
先生の中ではすでに診断名がついていたのかも知れません。
この機能性ディスペプシア診断ですが、実はとても時間がかかります。
機能性ディスペプシアの診断基準
機能性ディスペプシアの診断には、胃カメラや血液検査、腹部CTや超音波などの検査をしても、胃の粘膜などに大きな異常が認められていないことが前提となります。
そして下記症状のうち、1つ以上の症状が6カ月以上前に始まり、3カ月以上(週に3日以上)続いている状態のときに診断されます。
(1)みぞおち辺りの痛み(心窩部痛)
(2)みぞおち辺りの焼ける感じ(心窩部灼熱感)
(3)食後の胃もたれ
(4)早期満腹感(食事開始後すぐに満腹と感じ、最後まで食事を摂取できない状態)
私は食後の胃もたれ、吐き気、早期満腹感が慢性的にありました。胃痛などは最初だけでした。
機能性ディスペプシアは胃炎とは異なる
2013年に診断名が承認されるまで、機能性ディスペプシアは長らく「慢性胃炎」と同じ分類にされてきました。
しかし慢性胃炎は胃に炎症がある状態のことを言います。
この炎症は主にピロリ菌に感染していることで引き起こされるので、慢性胃炎の治療はピロリ菌除去から始まるのが基本です。
併せて、ピロリ菌によって炎症してしまった粘膜を改善させるために、胃酸を抑える薬や粘膜保護の薬が処方されます。
しかし機能性ディスペプシアは、そもそも胃の粘膜に大きな異常が認められません。
処方されるの薬は、胃の働きが低下してしまったことを改善するために、胃酸を抑える薬、消化管の運動機能を改善する薬を中心に処方されていきます。
機能性ディスペプシアの原因についてですが、過度のストレス、加齢、不規則な生活、食生活の乱れ、遺伝性(胃の形状など)が考えられています。
≪慢性胃炎≫
症状:主に胃もたれ・胃痛・吐き気・胸焼け
原因:主にピロリ菌
治療薬:ピロリ菌を除去する抗生物質、胃酸を抑える薬、胃の粘膜保護薬が中心
≪機能性ディスペプシア≫
症状:主に胃もたれ・胃痛・吐き気・胸焼け・早期満腹感
原因:過度のストレス、加齢、不規則な生活、食生活の乱れ、遺伝性など
治療薬:胃酸を抑える薬、胃の粘膜保護薬、消化管の運動機能を改善する薬、抗うつ薬、抗不安薬、漢方など
4コマ漫画で、先生が「治療法が変わらない」と言った言葉の意味は次回の4コマに続きます。
次回は、「⑭新薬アコファイド」について書きます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。