最近のブルース・ウィリスはいったいどうしたんだろう!?出演映画は日本劇場未公開作品が続き、興行収入もいまひとつ。
ハリウッド界ではトップ10に入るほどのヒットメーカーですが、どうしようもない作品に出演してしまうこともしばしある。
それでも観たい映画がないとき、ブルース・ウィルスの名前がクレジットに並べば、つい観てしまうのは映画ファンの性というものだろうか。
今回も「してやられれた」!
あらすじ
西暦2242年。謎のウィルスの流行によって地球は滅亡の危機に陥り、選ばれた5000人の富裕層がニューアースへと避難を開始する。元軍人や現役兵士たちが管理する宇宙船にどうにか潜り込んだノアは、元軍人クレイの下で働くことに。やがて船内で殺人事件が発生するが、その現場はどう見ても人間の手によるものではなかった。正体不明の恐ろしい生命体と、人類存亡をかけて死闘を繰り広げるクレイたちだったが……。
引用元:映画com.
注意!覚悟して観るべし作品
ブルース・ウィルスのSF代表作と言えば、世界で大ヒットした『アルマゲドン』。
地球を救うべく、男たちが宇宙に旅立って小惑星を破壊するという何とも感動的な物語だった。でも任務遂行したのは宇宙飛行士ではなく、石油採掘業者。
違和感のある設定は忘れもしにない。
それでも娯楽大作を得意とするマイケル・ベイ監督の手腕と、エアロスミスの音楽が、あの感傷的なムードを盛り立て大ヒットに繋げたことを思い出す。
たとえ多少無茶な脚本でも、作り方次第で名作にもなり得るのが映画だ。
しかし、無茶な脚本の上に制作サイドの脇が甘ければ、不愉快に感じるほどのとんでもない駄作が生まれるのもまた事実…。
それがSF映画となれば、目も当てられない。
今回の映画は不愉快とまではいかないが、あらすじや予告で期待値を上げてしまうと、相当の肩透かしを食らうことになる。
杜撰すぎる設定やセット
本作品は設定こそ『アルマゲドン』を超越するような地球危機にあり、新しい星への移住を描いたスケールの大きい設定になっている。
時代も2242年。今から220年後の地球人が主人公。
巨大宇宙船が舞台なだけに、どんなスペクタル映像が観られるか心躍る。
しかし早々と違和感が生まれいく。
まず宇宙へ飛び立った船内。何と、無重力ではない。
220年後なのだから無重力を操れる技術があるのかもと解釈したのもつかの間、ビルの一室のようなチープな船内が広がる。
乗組員たちのベッドは簡素すぎるし、食事も生活も現代人と何ら変わらない。
そもそも未来人が、普通にトイレ掃除をしているのはどうなんだろう。
トイレこそ技術が進化してそうだが…。
刑務所の中の出来事かと思うほど船内は暗く汚く、登場人物たちも下世話。
そしてブルース・ウィルスは、何故か酒の密造をしている。
密造の中身は、何百倍も希釈しなければ使えない危険な化学薬品。この辺りでいろいろと察してしまう人も多いだろう。
(唯一楽しい?ネタばれにつながるので、これ以上触れないようにする)
船内で次々と謎のウイルスに感染した人間がゾンビ化し、死闘を繰り広げていく。
私がさらに気になったのは、SFホラーという衝撃映画であるはずなのに音楽が少なく、それ故とても静かな印象を持ってしまったこと。
銃撃や悲鳴は激しくも、盛り立てる音楽がない。
音楽まで手を抜いてしまうとは…。
最後にブルース・ウイルスがキーボードを叩くシーンがあるが、おもちゃのようなキーボードで、しかもガタガタしていて、思わず爆笑してしまった。
観た者にしか味わえない体験
有名スターが出演しているにもかかわらず、稀に見るひどい映画だった。
ある意味忘れられない1本になったのは確かだ。
しかしながら、アメリカでは2020年12月にしっかりと劇場公開されているし、日本でも2021年1月に公開されている。
本来であればお蔵入りするような出来栄えだが、コロナ禍だからこそ劇場公開できたのだと推測する。
本当に集客が見込める作品であれば、コロナ禍での公開は見送られただろうから。
とりあえずブルース・ウィルスの知名度で、大勝負を懸けた配給会社の苦渋の決断を感じずにはいられなかった。
そんな伝説的な映画だが、観た者にしか味わえない体験がある。
220年後の未来、巨大宇宙船、謎のウイルス、不気味な生命体、ほんの数滴ですべてを溶かしてしまう化学薬品、そして大物ブルース・ウィルス。
観客の好奇心をかき集めた設定は大成功だと思う。
そして思いっきり高く上げたハードルを一気に下降させる荒唐無稽さに、静かな快感を覚えた。
大真面目に演じる出演者たちが喜劇王に見え、シリアスな状況がやたら笑える。
このやりたい放題の世界を観終えたとき、心が大きくなっているのを感じるのではないだろうか。
ぜひ爆笑ポイントをたくさん見つけて、楽しんでほしいと思う。
今回もお付き合い下さり、ありがとうございました。