アン・ハサウェイの怪演ぶりが楽しめる映画『魔女がいっぱい』

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引用元:映画com.



あらすじ

1960年代、とある豪華ホテルに現れた、おしゃれで上品な美女。しかし、彼女の正体は誰よりも危ない邪悪な大魔女(グランド・ウィッチ)だった。この世に魔女は実在し、世界中に潜んでいる。いつまでも若く、おしゃれが大好きな魔女たちは、人間のふりをして普通の暮らしを送りながら、時々こっそりと人間に邪悪な魔法をかけている。そんな魔女たちの頂点に立つ大魔女が、魔女たちを集め、ある計画をもくろんでいた。そして、ひとりの少年が偶然魔女の集会に紛れ込み、その計画を知ってしまうが……。

引用元:映画com.

 

 

アン・ハサウェイの怪演が見事

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引用元:映画com.

この映画の見どころは、アン・ハサウェイ見事な怪演ぶり!もうそれに尽きる。

好みはあるにせよ、二次元の世界に出てくるようなルックスは、同性でも見惚れてしまうほどキュートで魅力的。黙っていれば、愛くるしいお人形さんだ。

そんなアン・ハサウェイを始めとするハリウッド女優たちは、自分のイメージを壊すことを恐れたりせず、役になりきったりする。

たとえみすぼらしい役や汚れ役だとしても、憑依したかのような見事な演じっぷりで、映画を何倍も面白くしてくれるのだ。

 

そして本作のアン・ハサウェイ

子供たちをネズミにしてしまうという恐ろしい大魔女役を完璧に仕上げている。

特殊メイクを施し、クセのある巻き舌(ロシア語訛りを誇張するため)で喋り倒す姿は、何ともエキセントリックで圧倒的な存在感を放っている。

そこに加わる大袈裟な身振り手振りや、激しく変わる表情が実にコミカルで、これだけでもうお腹いっぱいになるほど作品の醍醐味を味わい尽くさせてくれる。

 

ゼメキス監督の安定の良質作品

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引用元:IMDb

バック・トゥ・ザ・フューチャーを世に送り出したロバート・ゼメキス監督も、御年69歳(2021年現在)。80年代からスピルバーグと肩を並べ、安定した娯楽大作を生み出してきた。

ときどき小難しい映画を撮ることもあるが、スピルバーグと違って重厚すぎることもない。どれもハートフルを織り交ぜ、鑑賞後に心地よい余韻を残してくれる。

そんな子供から大人まで楽しめる作品の良質さは、今回も保証付きだ。

原作は、チャーリーとチョコレート工場で知られるロアルド・ダールだったり、製作と脚本がシェイプ・オブ・ウォーターを監督したギレルモ・デル・トロだったりするので、ダークファンタジー色も強い

世界中の子供をネズミにしようと企てる魔女の異常な執念や、挟み込まれるブラックユーモア、そしてアクの強いキャラクターたちを観ていると、昔観た『永遠に美しく』を思い出す。あの美しさに取り憑かれた女たちの土壇場劇と似たものを感じて、懐かしくなる。

そして、絵面の強烈さも健在だ。

ゼメキス作品と言えば、ありったけの映像技術を駆使し驚異的な世界を表現する。

今回も魔女たちに仕掛ける罠や、ネズミから見た世界を楽しく奇妙に作り込み、ゼメキス作品の真骨頂が発揮されている。

 

意外なラストで感じたもの

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引用元:IMDb

※ここからネタバレ含みます。

おばあちゃんと孫のほのぼのとした関係が心温まる。

物語は主人公の少年の両親の死から始まり、少しショッキングだ。

しかし孫の面倒をみることになったおばあちゃんは、孫を立ち直らせようと得意の料理やダンスを披露し、少しずつ心を癒していく。

傷付いた子供にどう寄り添うか、そんなホームドラマチックな展開もひそかな見どころとなっている。

2人の愛情深い信頼関係は、魔女が出現するとさらに強まり、予期していなかった感動に思わずウルッとさせられる。

辿り着く結末をハッピーエンドとしてとらえるのは、少し難しいかも知れない。

だけど、幸せの定義は人によって違うもの。

主人公が自分の人生を英雄的に語り継いでいる、私はそこに注目したいと思った。