もし過去に戻れたら…、もし未来を覗けたら…。
そんな誰もが夢見るタイムトラベルのある世界に、映画は誘ってくれます。
複雑に絡み合う時間は濃密なストーリーを生み出し、思わぬ展開をみせてくれるので、スリルと興奮、そして感動を大いに味わわせてくれます。
今回は映画好きの私が、本当に面白かったタイムトラベル映画10選をご紹介します。
- プリデスティネーション
- バタフライ・エフェクト
- ルーパー
- オーロラの彼方へ
- ザ・ドア 交差する世界
- デジャブ
- きみがぼくを見つけた日
- オール・ユー・ニード・イズ・キル
- ジャケット
- バック・トゥ・ザ・フューチャー
プリデスティネーション
2014年製作/97分/オーストラリア
バーテンダーに自分の数奇な人生を語り始める客。うまくいくはずだったのに、恋に破れたことで地獄に転落したと途方に暮れています。聞いていたバーテンダーは未来からきた時空警察で、過去に戻って恋敵に復讐を果たすことを提案しました。
復讐を軸にして描かれるタイムパラドックスは、陰影に富んだ世界を描き出しています。
劇中交わされる「卵が先か、鶏が先か」の言葉を深くなぞりたくなるほどストーリーは秀逸で、人の生きる宿命を何層も絡め、驚くべきラストへ失踪していきます。

バイオリン型のタイムマシンが斬新でおしゃれでした。
バタフライ・エフェクト
2004年製作/113分/アメリカ
昔の日記を読み返すと、そのときの感情が掘り起こされ、過去に戻れるという特異体質を持った主人公。恋した幼なじみを亡くしたことで、これまで歩んできた運命を書き換えようとします。幼少時代に負ったトラウマ体験を防ぐことが鍵でしたが、何度やり直しても誰かが犠牲になり、うまくいきません。
人生とは、ちょっとしたタガが外れただけで大きく狂ってしまうものだと見据えたような作品です。夢見がちな「もしも」を打ち砕きますが、主人公の優しさが滲み出る濃密なストーリーは必見です。

幸せとは誰かの不幸とつながっているのかと思いながら観ていました。
ルーパー
2012年製作/118分/アメリカ
近未来。死体証拠を残さないために、犯罪組織はタイムマシンを悪用して標的を30年前の過去に送り込み、そこでルーパーと呼ばれる暗殺集団に殺害させていました。
ルーパーに属する主人公は、あるとき標的が30年後の自分が送り込まれたことを知りますが、迷いなく任務を遂行しようとします。
しかし未来の自分は、起きた過去を変えるために逃げ惑います。
同じ人間でありながら、現代と未来の思想は別であるという着想が面白い展開を生んでいます。
それぞれの信念を貫こうとする姿が複雑ですが、結末は語り継がれるほどの潔さを残しました。

ブルー・ウイルスが30年後の主人公を演じています。
オーロラの彼方へ
2000年製作/117分/アメリカ
父親を亡くした息子が無線機で交信した相手は、何と30年前に亡くなった父親だったという時空を超えた感動ドラマが見物です。
消防活動で命を落としたことを本人に伝え、何とか父親を救おう画策しますが、事態は思いもよらぬ波乱を呼び起してしまいます。
助けたくても手の出せない距離で、互いへのメッセージを送り続ける親子の絆に胸が熱くなってきます。
二転三転とするクライマックスはハラハラさせられますが、さわやかさに満たされます。

Yahoo!の株を買えというメッセージがユニークでした。
ザ・ドア 交差する世界
2009年製作/101分/ドイツ
娘を事故死で亡くした主人公は、己の不甲斐なさに悔む人生を送っていました。しかし不自然に佇んだドアを開けると、娘が事故死する直前の過去に戻ることができ、救出に成功します。
鉢合わせになった過去の自分を思わず殺してしまいますが、そこで過去の時間に留まることを決意する主人公。
「あのときに戻りたい」という願望を叶えたドラマが独創的で、面白い構成になっています。
失った時間を取り返そうとする主人公の葛藤に痛ましさもあります。
終盤、タイムトラベルの存在を知った者たちが狂信的な行動を起こしていき、ドイツ映画らしい奇妙なサスペンステイストへと変えていきます。

主演のマッツ・ミケルセンの抑えた演技がとてもクールです!
デジャブ
2006年製作/127分/アメリカ
爆破事件で犠牲になって運ばれた女性の遺体。捜査官の主人公は彼女を見て、不思議なデジャブを感じます。
一方、政府の抱える秘密組織では過去を遡れる監視システムが存在していました。事件の首謀者を捕まえるためにカメラの時間を巻き戻してくうち、被害女性を救おうと主人公が立ち上がります。
この映画がとにかく斬新で興味深いのは、「死んでしまった女性に恋した男」。
男が運命に逆らおうとしたときに発生したパラレルワールドが、息をのむほどの緊張感を与えています。

トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンの名コンビが仕掛ける映画は、常に一級品ですね。
きみがぼくを見つけた日
2009年製作/110分/アメリカ
自分の意思とは関係なく過去・未来へトリップしてしまう主人公と、それに翻弄される女性の苦悩に満ちた人生を描いています。
いつ、どこの場所へいくのか分からないので、毎回主人公は命がけで時空を超えなければいけません。
2人の再会は毎回奇跡のように繰り返されますが、だんだんと一緒にいたくても居られないもどかしさが積み上がっていきます。
タイトルに込められたメッセージが胸に響き、感動が広がっていきます。
珠玉のラブストーリーは、生涯忘れられない1本になるはずです。
オール・ユー・ニード・イズ・キル
2014年製作/113分/アメリカ
日本の小説「All You Need Is Kill」を映画化したトム・クルーズの主演映画です。
兵士経験のない広告マンが、ひょんなことから最前線の戦場に繰り出されます。冒頭20分であえなく主人公は討ち死しますが、そこで時間はリセット。目を覚ました主人公は何度もループして戦前へ向かい続けます。無限ループを断ち切るには激戦を生き残るしかありませんでした。
そんなゲームの世界に入り込んだような設定を観ていると、鑑賞者はプレイヤーの気分になっていくでしょう。弱腰だった主人公が少しずつヒーロー化していく姿をユーモラスに描き、怒涛のSFアクションを楽しませてくれます。

毎回死ぬシーンが衝撃的でした。
ジャケット
2005年製作/103分/アメリカ
1992年に生きる主人公は、戦争で負った治療目的のために精神病院に入院させられます。そこでは患者を遺体安置所に入れての荒治療が行われていましたが、何故か2007年にタイムワープしてしまうという不思議な空間になっていました。
15年後の世界で出会ったシングルマザーと恋に落ちますが、実は未来ではすでに自分が死んでいることを知ります。何故自分は死んだのか、彼女の運命はどうなるのかをミステリー調で盛り立てていきます。
胸を打たれる結末は、見逃せません。

主演のエイドリアン・ブロディの何とも言えぬ表情が印象的でした。
バック・トゥ・ザ・フューチャー
1985年製作/116分/PG12/アメリカ
すでに多くの人が鑑賞済みですが、タイムトラベル映画と言えば、やっぱりこの1本!
過去に戻ってしまったことで、塗りかえられそうな運命を必死で修正しようとする主人公。
その可笑しくスリリングな奮闘劇は、誰もが釘付けになりました。
60年代に生きる人々の素朴さと、ポップな80年代に生きる主人公のズレが最高にユーモラスです。タイムトラベルならではの変わりゆく運命の危うさもスリル満点。
未来へつながる時間が、ダンスパーティーで集結されていく流れが爽快です。
SF映画の王道中の王道映画は、世代を超えて愛され続ける名作です。