映画の中で生まれた名言が、思わぬ勇気や、人生の道しるべとなるときがあります。
不意打ちの言葉はぐっと心を突き刺し、いつまでも胸に響き渡っていきます。
今回は映画好きの私が、特に心に刺さった名言を10選ご紹介します。
博士と彼女のセオリー
- 人間の挑戦に限界はない。 どんなにひどい人生に思えても、生きていれば希望がある
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の難病を患う天才科学者スティーブン・ホーキング博士が、授賞式会場でスピーチした言葉です。
その想いに辿り着くまで、どれほどの葛藤があったか図り知れません。
ホーキング博士は余命2年と宣告されてから、少しずつ身体機能が失われ絶望し続けました。しかし愛するジェーンの支えで、家庭を持つことや、宇宙理論の研究を続けることをあきらめませんでした。
難病によって閉ざされた時間や未来を悲観視せず、ポジティブに困難を乗り越えることの大切さを伝えています。

ホーキング博士は、”ユーモアがなければ人生は悲劇”という人生論を掲げています。
きみに読む物語
- 誰にも負けなかったことがある。命がけで、ある人を愛した。私にはそれで十分だ
認知症の妻に語りかけた夫デュークの言葉です。
初めての恋は、甘酸っぱい思い出に満ちているものです。
しかし物語に登場する若い2人はあまりにも壮絶な出来事が多く、切なすぎるものでした。誰かを生涯愛し続けることは、犠牲を伴うことでもありました。もっと良い人生があったかも知れません。
しかし終わりを告げるその瞬間まで、愛にひたむきに生きた人生こそ誇りとしたデュークの不滅の想いが伝わってきます。
イル・ポスティーノ
-
あなたが帰った時、素敵なものはみんな持って帰ったと思った。
でも本当はいろんなものを残してくれたんだ
友人ネルーダが祖国に帰り、落ち込んでいたマリオですが、自分の住む島の美しさに気づいたときの言葉です。
それまで島はありきたりに人々の生活を切り取る、退屈な場所と思っていました。
しかしネルーダとの語らいで、身近なものこそ、奇跡の美しさがあることに気付いたのです。マリオは島に息づく音の数々を拾い上げ、ネルーダに届けました。波や風、教会の鐘、お腹に宿る子供の心拍音。そして星降る夜の音…。
マリオの起こした行動に、深い感動が広がっていきます。

レビューも読んで下さい♪
グリーンブック
- 勇気が人の心を変える
人種差別の激しい1960年代。黒人ジャズピアニスト・シャーリーが、あえてアメリカ南部へ演奏ツアーに向かう理由を、バンド仲間が代弁した言葉です。
ジャズ界で名を馳せても、一歩会場を出れば惨めな扱いを受けます。時に差別主義者から絡まれ、命の危険にさらされることもありました。
その地を拒絶することもできたシャーリーですが、黒人が大衆の前でピアノ演奏をし、白人たちに才能を披露することで根強い差別意識を変えることを信じていました。
踏み出した勇気にどれほどの価値があるのか、伝えてくれる言葉です。
桜桃の味
- 夜明けの太陽、夕陽、星空、満月をもう一度見たくないのか?目を閉じてしまうのか?全てを拒み、全てを諦めてしまうのか?桜桃の味を忘れてしまうのか?
自殺をしようとしている男バディに、老人がかけた言葉です。
それまで出会う人々に「自殺はよくない」と決まり文句のような言葉で諭されてきたバディですが、最後に出会った老人だけは違いました。
人生がつらくても、小さな喜びは日常にあふれている。目に映るものや感じる心を失わなければ、人生に屈することはない、ということを教えてくれています。老人もまた自殺を決意した過去があるからこそ、バディに寄り添うことができました。
人生絶望する者こそ、この言葉の重みを知ることができます。

イラン映画の監督アッバス・キアロスタミの温かなメッセージが沁みます。
ボヘミアンラプソディー
- 病に侵された悲劇の主人公でいるつもりはない。自分が何者かは自分が決める
自分がエイズであることをメンバーに打ち明けたときのフレディの言葉です。
性的マイノリティであることを苦悩し続けたフレディは、大切な人たちを拒絶し、快楽に身を任せる日々を送っていました。どんなに栄光を浴びても孤独と挫折を感じていましたが、自分を理解しようとしてくれる人や、一緒に頂点を目指した仲間の存在に気付きます。
QUEEN復活を決意し、自分の定められた運命を精一杯生きようとする覚悟が見える言葉でした。
この言葉通りフレディは彼らしいスタイルを貫き、伝説へと昇華したのを見逃せません。
ニュー・シネマ・パラダイス
- 自分のすることを愛せ
恩師アルフレードが、夢を目指して旅立つトトに贈った言葉です。
夢への道は厳しく、困難なものです。時に限界を知り、夢を追うことに疑問を持ってしまうこともあるでしょう。しかし自分のすることを愛していれば、決して迷うことはないということを熱く伝えてくれています。
とてもシンプルですが、アルフレードの言葉は、夢を目指す多くの人の勇気となって背中を押してくれるのを感じます。

レビューも読んで下さい♪
レナードの朝
-
みんな生きることの素晴らしさを忘れている。持ってるものの尊さを教えてあげなきゃ。
人生は喜びだ、尊い贈り物だ。人生は自由で素晴らしい!
嗜眠性脳炎という30年間眠り続ける病気から目覚め、人生を取り戻そうとした患者レナードの言葉です。
外に出たレナードは街が煌めいて見え、全てのものに感動を表しました。
生きている素晴らしさを肌で感じ、一瞬一瞬が奇跡の賜物であることを人々に伝えようとしたのです。やがて訪れる悲劇を思うと、レナードの絶望と希望に打ちひしがれます。
レナードの残した言葉は、当たり前に過ごしている私たちの心に気づきを起こしてくれます。
インターステラー
- 親になるというのは、子どもたちの未来の幽霊になることなんだ
宇宙に向かう父親クーパーが、泣きじゃくる10歳の娘にかけた別れの言葉です。
もう二度と会えないかも知れないことを、親子は覚悟していました。
父親は、そばに居られなくても娘を想う気持ちはどこにいても変わらないことを伝えています。また娘がその気持ちを感じ取ることを信じているのが分かります。
一見宗教的な教えにも聞こえますが、その後に展開される宇宙の壮大なストーリーを観ると、人の気持ちが時空や空間をも超越することを暗示しているようでもあります。

宇宙と死のつながりを感じ、深く胸に響いてきます。
ガタカ
- 僕に何ができて何ができないか、決めつけるな!
夢をあきらめるよう促す弟に、兄ヴィンセントが反論した言葉です。
近未来。遺伝子操作によって優秀な人間がはびこる社会で、自然妊娠で生まれたヴィンセントは差別を受けて育ちました。優秀な遺伝子を持たない人間は病気のリスクや、身体能力が劣っているため、進学や就職も冷遇されていました。
しかし宇宙飛行士という大きな夢をあきらめきれなかったヴィンセントは、エリートに混ざり、身分を偽りながら実現させようとします。
自分の限界に挑戦しようとする、揺るぎない決意が伝わってきました。