アマゾンのジャングルの奥深くに「“奇跡の花”を手にした者は永遠の命を手にする」という不老不死の伝説があった。行動力と研究心を兼ね備えた植物博士のリリーは、この秘密の花を求めて危険に満ちたアマゾンへ旅立つ。リリーが旅の相棒に選んだのは、現地を知り尽くしたクルーズツアーの船長フランク。「伝説に近づく者は呪われる」と言われる、アマゾン奥地の「クリスタルの涙」を目指してジャングルを進むリリーたち。そこで彼らは恐るべき真実を知り、奇跡の花をめぐる争奪戦に巻き込まれる。
引用元:映画com
アトラクションを自虐的に再現!?
映画の舞台となったのは南米のアマゾン川。
主人公のフランク(ドウェイン・ジョンソン)は古びた自前の船で観光客を案内するのが仕事。
オヤジギャグ連発で客は興ざめするも意に介さず、自然の猛威を熱く語りながら滝の裏側や野生動植物、原住民との一触即発を過剰に演出して船の観光を盛り上げていく。
フランクの度を超えた演技と、冷めた観光客の縮図に思わずニンマリしてしまう。
ディズニーランドのアトラクション、ジャングル・クルーズとよく似た雰囲気だ。
錆びた船。ぎこちない仕掛け。船長のオーバー演技。
どこか安っぽくて古臭い。
それがまた、妙な心地よさを感じたりする。
そう、本作は映画館でもアトラクションの空気をそのまま、味わせてくれているのだ。
自虐的なものさえ感じてしまう映画冒頭に、私は完全に引き込まれた。
そしてこれから始まる真の冒険への高揚感に包まれ、久しぶり胸が高鳴った。

滝の裏側のシチュエーションは、アトラクション感満載!
不気味すぎる悪役たち
今回も個性的な悪役が揃っている。
悪役がいてこそ主人公たちの活躍が光るもの。
特にディズニー映画では善悪がはっきりと分かれているため、欠かせない存在だ。(最近は過剰演出に走りがちな気もするが…)
本作も例に及ばず、悪役たちが際立っていた。
その風貌はグロテスク感半端なく、かなり不気味だ。
何せ、400年前に呪いにかけられた人間が生き返るのだから。
彼らの全身は蛇や植物、虫の大群に覆われて悲劇的なほどおぞましい姿をしている。外見だけではなく、心は憎悪と復讐心に取り憑かれ、主人公たちを容赦なく襲い掛かる。
まさに悪夢的な光景で、ディズニー映画言えども、小さな子供には要注意かも知れない。
さらにもう1人、ドイツ帝国王子のヨアヒム。
彼は世界征服を狙って「不老不死の花」を手に入れようと画策している。
ヨアヒムの仕掛ける脅しや罠がまた恐ろしい。ふつふつと湧き上がる怒りも狂気じみていて、ディズニー映画の本気度が伝わってきた。
冒険者の隠された秘密
ディズニー映画の実写版『美女と野獣』では、LGBTのキャラを初めて登場させたことで話題になった。
そのシーンは瞬間的ではあるものの、わりとその手の作品を観てきた者にとったら「分かる」見せ方だった。
賛否両論もあり、ストーリーとして必要だったのかは分からないが、ごく自然な描写にLGBTをタブー視しない製作サイドの姿勢を感じた。
実は本作で弟として登場するマクレガー(ジャック・ホワイトホール)も、ゲイだ。
ここでもはっきりとした告白はない。
「愛する人は他だった」という遠回しな言葉で、濁らしている。
ジャングルの大冒険にオシャレ道具を積み込むキャラクターとして笑いをとるが、「姉だけが味方だった」という物悲しさも垣間見せ、マクレガーの複雑な立ち位置が作品に奥行きを与えている。
大胆不敵な姉と、臆病者の弟。
そこに絡む頼もしくも謎めいた船長フランク。
それぞれの抱える背景や観念性を知ると、終盤に繰り広げられる展開に感動すら覚える。
超スペクタルな冒険活劇は、大人も子供も楽しめる驚きと興奮のシアタータイムになるはず。

真実が明かされたときの衝撃度がすごかったです!